04.30.00:42
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06.21.14:13
電子回路のお勉強その1 ウィーンブリッジ発振回路 理論編
さて、理論編です。
前回のとおりこのウィーンブリッジ発振回路は2つのパートからなると書きました。
まずは発振回路の仕組みからですかね。この辺は自分もさっぱりなので感覚だけでもつかめればいいと思っています。

この回路において定義をします。
: 増幅率 何倍に増幅するかを表す。もちろん増幅器で増幅される
: 帰還率 帰還回路で何倍の値を帰還させるか
例えば増幅率
が3(3倍に増幅)で帰還率
が 0.5(増幅した信号の半分を帰還)として最初の入力を1として考えましょう。
1 → 増幅(1*3) = 3 → 帰還(3*0.5) = 1.5 → 増幅(1.5 * 3) = 4.5 →
→ 帰還(4.5 * 0.5) = 2.25 → 増幅(2.25 * 3) = 6.75 ......
というようにだんだんと大きくなっていき飽和します。
つまり
: 飽和
: 減衰
ということが分かります。
では

のときはどうなるか
増幅率
が4で帰還率
が 0.25で考えてみましょう
1 → 増幅(1*4) = 4 → 帰還(4*0.25) = 1 → 増幅(1*4) = 4 →
→ 帰還(4 * 0.25) = 1 ......
同じ信号を永遠と繰り返すことが出ます。
つまりこれが発振です。
同じ信号といいましたがこれは帰還回路で決めることができます。帰還回路がフィルターになるわけです。
また入力信号と同位相のものを帰還させることを正帰還、逆位相のものを帰還させることを負帰還といいます。ウィーンブリッジ発振回路では正帰還を使います。
では実際の回路と見比べながらどこが増幅器で、どこが帰還回路に該当するか見てみましょう。

このように増幅した信号を帰還しています。
前回の例では増幅率 3、帰還率 1/3でやっていました。
もちろん増幅率、帰還率は部品定数によって決まるので求めてみましょう。
1.増幅率を求める
まずは増幅率です。
この増幅器は非反転増幅回路というものでそこだけ取り出すと次のような回路です。
それでは求めていきましょう。
オペアンプの特性から次の式が成り立ちます。
ここでの
は電圧増幅度といい(Aとは別物)、それぞれのオペアンプに固有の値をとります。電圧増幅度はデータシートに値も載っていますが、ここでは理想オペアンプとして計算しています。
\:&space;+&space;\:&space;(Vin-)\}})
(1式)
R1、R2で分圧しているので次の式も成り立ちます。

(2式)
回路図から


となっているので(1式)、(2式)は
})

となります。(1式)へ(2式)を代入すると
})
これを変形していきます

&space;=&space;\alpha*Vi})

}{(R_{3}\:+\:R_{4})\:+\:\alpha*R_{3}}})
}{\frac{R_{3}\:+\:R_{4}}{\alpha}\:+\:R_{3}}})
オペアンプの理想として
は無限大なので
}{\frac{R_{3}\:+\:R_{4}}{\alpha}\:+\:R_{3}}})
}{R_{3}}Vi})
こうしてやっと増幅度Aが求まります。ViがVoに増幅されているわけですから


(式3)
R1とR2はもちろん正の数なのでAは必ず1以上となることもわかります。
2.帰還率を求める
前回の回路図から帰還回路のみ取り出すと
緑の部分は

これが帰還回路であり、Viから入ってきた信号の帰還率だけVoへとだすものです。
まず青い枠で囲ったようにZ1とZ2のインピーダンスを求めます。
})

VoはZ1、Z2でViを分圧したものだから

帰還率βは

発振する条件は

だったのでそれぞれ代入すると

(式4)
(式4の左辺)について
\:+\:(R_{2}&space;+&space;\frac{1}{j&space;\omega&space;C_{2}})}{(\frac{R_{1}\times\frac{1}{j&space;\omega&space;C_{1}}}{R_{1}&space;\:&space;+&space;\:&space;\frac{1}{j&space;\omega&space;C_{1}}})}})
\:+\:(R_{2}&space;+&space;\frac{1}{j&space;\omega&space;C_{2}})}{\frac{R_{1}}{j&space;\omega&space;C_{1}R_{1}&space;\:&space;+&space;\:&space;1}}})
分子分母にjωC2をかけて
\:+\:(j&space;\omega&space;C_{2}R_{2}&space;+&space;1)}{\frac{j&space;\omega&space;C_{2}R_{1}}{j&space;\omega&space;C_{1}R_{1}&space;\:&space;+&space;\:&space;1}}})
分母分子にjωC1R1+1をかけて
&space;+&space;(jwC_{2}R_{2}+1)(jwC_{1}R_{1}&space;+&space;1)}{jwC_{2}R_{1}}&space;})
分子の展開をして
+&space;(-\omega^2C_{1}C_{2}R_{1}R_{2})+(j&space;\omega&space;C_{2}R_{2})}{j&space;\omega&space;C_{2}R_{1}}})
}{j&space;\omega&space;C_{2}R_{1}}})

})
(式4)へ代入すると
})
両辺がイコールとして成立するには左辺が実数なので右辺も実数でないといけません。よって虚部は0です。
また別の考え方として左辺は帰還するときの信号を表す式に使われていたので、増幅された信号(実数→位相0)と位相が同じでないといけない、つまり位相0でないといけないので虚部は0です。
実際0になるのは正弦波のみです。普通の信号、つまりいろんな周波数の混ざった信号の場合、信号が同位相の周波数成分(虚部が0に近くなるような値)のみ増幅される結果となります。これは虚部がω以外すべて定数で虚部はωによって決まるからです。
信号は多種多様な正弦波から足し合わせてできていると考えることができるのである周波数だけの信号を取り出すことで正弦波が出力されます。
(発振条件その1)
虚部は0でないといけないという条件から


よって

ω=2πfより
(発振条件その2)
すごく長くなってしまいましたが、この2つの条件がそろうとき発振が起こります。
なので部品定数は出力したい周波数をきめればもとめることができます。
<参考文献>
・アナログ回路の基礎
・ウィーンブリッジ発振回路の動作原理
・オペアンプの基礎と応用
前回のとおりこのウィーンブリッジ発振回路は2つのパートからなると書きました。
まずは発振回路の仕組みからですかね。この辺は自分もさっぱりなので感覚だけでもつかめればいいと思っています。
この回路において定義をします。
例えば増幅率
1 → 増幅(1*3) = 3 → 帰還(3*0.5) = 1.5 → 増幅(1.5 * 3) = 4.5 →
→ 帰還(4.5 * 0.5) = 2.25 → 増幅(2.25 * 3) = 6.75 ......
というようにだんだんと大きくなっていき飽和します。
つまり
ということが分かります。
では
のときはどうなるか
増幅率
1 → 増幅(1*4) = 4 → 帰還(4*0.25) = 1 → 増幅(1*4) = 4 →
→ 帰還(4 * 0.25) = 1 ......
同じ信号を永遠と繰り返すことが出ます。
つまりこれが発振です。
同じ信号といいましたがこれは帰還回路で決めることができます。帰還回路がフィルターになるわけです。
また入力信号と同位相のものを帰還させることを正帰還、逆位相のものを帰還させることを負帰還といいます。ウィーンブリッジ発振回路では正帰還を使います。
では実際の回路と見比べながらどこが増幅器で、どこが帰還回路に該当するか見てみましょう。
このように増幅した信号を帰還しています。
前回の例では増幅率 3、帰還率 1/3でやっていました。
もちろん増幅率、帰還率は部品定数によって決まるので求めてみましょう。
1.増幅率を求める
まずは増幅率です。
この増幅器は非反転増幅回路というものでそこだけ取り出すと次のような回路です。
それでは求めていきましょう。
オペアンプの特性から次の式が成り立ちます。
ここでの
(1式)
R1、R2で分圧しているので次の式も成り立ちます。
(2式)
回路図から
となっているので(1式)、(2式)は
となります。(1式)へ(2式)を代入すると
これを変形していきます
オペアンプの理想として
こうしてやっと増幅度Aが求まります。ViがVoに増幅されているわけですから
(式3)
R1とR2はもちろん正の数なのでAは必ず1以上となることもわかります。
2.帰還率を求める
前回の回路図から帰還回路のみ取り出すと
緑の部分は
これが帰還回路であり、Viから入ってきた信号の帰還率だけVoへとだすものです。
まず青い枠で囲ったようにZ1とZ2のインピーダンスを求めます。
VoはZ1、Z2でViを分圧したものだから
帰還率βは
発振する条件は
だったのでそれぞれ代入すると
(式4の左辺)について
分子分母にjωC2をかけて
分母分子にjωC1R1+1をかけて
分子の展開をして
(式4)へ代入すると
両辺がイコールとして成立するには左辺が実数なので右辺も実数でないといけません。よって虚部は0です。
また別の考え方として左辺は帰還するときの信号を表す式に使われていたので、増幅された信号(実数→位相0)と位相が同じでないといけない、つまり位相0でないといけないので虚部は0です。
実際0になるのは正弦波のみです。普通の信号、つまりいろんな周波数の混ざった信号の場合、信号が同位相の周波数成分(虚部が0に近くなるような値)のみ増幅される結果となります。これは虚部がω以外すべて定数で虚部はωによって決まるからです。
信号は多種多様な正弦波から足し合わせてできていると考えることができるのである周波数だけの信号を取り出すことで正弦波が出力されます。
虚部は0でないといけないという条件から
よって
ω=2πfより
すごく長くなってしまいましたが、この2つの条件がそろうとき発振が起こります。
なので部品定数は出力したい周波数をきめればもとめることができます。
<参考文献>
・アナログ回路の基礎
・ウィーンブリッジ発振回路の動作原理
・オペアンプの基礎と応用
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式4の左辺の展開式
「分子の展開をして」の直後の展開式が間違っています。
(jωC1R1)という項は出てきません。
ご指摘ありがとうございます。修正しました。
式(2)の分圧式が違うと思います。
修正しました。ご指摘ありがとうございます。
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